2010年3月16日火曜日

Google Waveを使わないと人生損する

このブログ記事をはてなブックマークに追加

「Google Waveを使わないと人生損する」…これはちょっと大げさかもしれないが、1年半前に書いたブログ記事「Evernoteを使わないと人生損する」で言及したEvernoteと同じぐらい、Google Waveが重要な技術になると感じたのは本当だ。当初、Google Waveは自分にとって、Google App Engine (GAE)などでプログラミングできる単なるおもちゃだった。しかしながら、今になってやっと、オンラインコラボレーションプラットフォームであるGoogle Waveの潜在能力の高さを知ることになった。

大量のメールに埋もれる情報と予定の立たないミーティング

最近、仕事上のメールのやりとりが頻繁ですぐに流されてしまうことが多く、大事な知らせを失念してしまったり、大量のメールから目的の情報を探し出さなくてはならなくなったりと、メールの扱いに手を焼いていた。さらに、直接顔を合わせるミーティングにおいても、この時期は皆忙しいようで、集まりたいときにすぐに集まれない状況が続き、何かと仕事が滞りがちになっていた。

そこで、昨年にアカウントを取得していたGoogle Waveに目を付けたのだ。今までGoogle Waveを仕事で利用しなかったのは、もともとGAEと連動させてWaveボットなどを開発するのが目的であり、コラボレーションツールとしてはあまり興味を持っていなかったからだ。それに、知人や同僚にもアカウントを持っている人がいなかった。

しかし、メールでのやりとりがひどく非効率に感じられ、必要なときにミーティングもできないというこの状況を打破すべく、Google Waveのアカウントを職場で配ってみることにした。そこでまずは、IT関連の最新技術に明るい同僚に利用してもらい、しばらく一緒に使ってみたのだが、特に問題となるような点もなく、使い勝手もそれほど悪くはなかったので、他のメンバーにもアカウントを配ることにした。

本当に新しいことは理解され難い

Google Waveアカウントを配ったメンバーに早速使ってみてもらったところ、おおむね好評を得られて…というほど甘くはなく、やはり第一印象は「難しい」、「使いづらい」、「メールでいいんじゃないの」という意見だった。誰もGoogle Waveの名前すら聞いたことがないというのだからそれも仕方が無いのだろう。これらの意見については、Google WaveコンプリートガイドによるGoogle Waveの紹介でも全く同じように述べられている。

“Google Wave の最大の欠点は、新しいユーザーが試しに使ってみた場合にあまりに理解しづらくて困惑してしまうことにあるといえます。EasierToUnderstandThanWave.comのようなパロディーサイトでは、炭素年代測定法や新古典派経済学、ポリモーダルな半音階理論といった頭脳を要求する話題でさえ、Wave に比べれば理解しやすいとされています。この冗談が真に迫っているのは、初めて Wave に触れたときにほとんどの人が困惑を経験するといえるからです。あなたがはじめて友人や同僚からうけとる wave は得てして、「なんだこれは」や「これは変なツールだね」といったものになることでしょう。” (Google Waveコンプリートガイドより引用)

そして、難しいと思わせる理由として以下の4つが挙げられている。

  • 「ドキュメントが会話」という前例のない新しいパラダイム
  • 無秩序な木構造の会話、ノンリニアなメッセージスレッド
  • ドキュメントのバージョン管理
  • Waveはまだ未完成、足りない機能の存在

確かにもっともな理由ではあるが、それでも使ってもらわないことには何も始まらないので、自分の関わっているプロジェクトのいくつかについてGoogle Waveを使ってもらうことにした。新しいパラダイムは常に受け入れられがたいものだ。

利用して初めて分かること

まず最初にしたことは、メンバーと共同で進めている自分の仕事の連絡をWaveで管理することだった。

今までは自分の担当分の結果が出たら、その報告と結果データの場所(通常はコンピュータ上のディレクトリ)などをメールで知らせていたのだが、そのやりとりが頻繁になると以前の報告やデータを把握しづらくなってくるし、ある仕事の成果を引き継いで別の仕事を行う場合、その対応付けも大変だった。また、別のメンバーが新たに参加する場合、これまでの進捗を説明するのも一苦労だ。

しかし、Waveを利用することによって、それぞれのメンバーの進捗状況は一目でわかるし、仕事のデータも簡単に取り出せる。画像やPDFなどのファイルもドラッグ&ドロップで簡単に共有できる。さらに、ToDoリストとして使うことで、既にメンバーの誰かが完了していた仕事を別のメンバーが繰り返したり、既にあるユーティリティスクリプトを作成してしまうことがなくなった。車輪の再発明の防止だ。加えて、他のメンバーの状況と照らし合わせて、ここまでは急ぎで行わなければならないとか、これはまだ急がなくても良いだろうとかの判断が、簡単にできるようになった。

次に、ある商品の名称を決める打ち合わせを例に挙げてみよう。

まずは、Waveを使わない通常のミーティングの場合、メンバー全員を同じ時間に拘束する必要があり、さらに、その時間内で名称候補を考えつかなくてはならない。しかしそれでは考えつくすべての候補が出る前に時間切れとなってしまうかもしれない。では、時間を決めずに各自に考えてもらってそれを持ち寄るのではどうだろうか。これだと、各個人がバラバラに考えているので、別メンバーのアイデアから触発されることはない。実際に自分の場合、ミーティングやメールでアイデアを募ってみたが、ほとんど反応はなかった。ミーティングでは時間が短すぎたし、メールでは良いアイデアを思いつかないまま別の仕事に追いやられてしまうわけだ。

ではWaveを使った場合はどうだろうか。まずはいくつのかの候補の議論がなされ、それに触発されて他のメンバーからも新たな候補が挙がるようになった。それによりさらにアイデアが浮かんでくる。まさにブレインストーミングだ。しかも、Waveであれば、全員が同じ情報を共有し漏れが無く、時間にも拘束されない。進行のまとめもWave上で編集していけばよいし、何かを決めるときには投票などのガジェットも使える。実際に上記で挙がった候補から最終的な名称を決めるために投票ガジェットは大いに役立った。

どれだけWaveが有用に使えるか、使用する前にすべてを見積もっていた訳ではない。車輪の再発明の防止やアイデアの触発などは、実際に導入して初めて実感できたことだった。頭では分かったつもりでも使ってみるまでは本当に分かったことにはならない。

TwitterとEvernoteで相乗効果

iPhoneとツイッターで会社は儲かる」(*1)の著者であるEC Studioの山本氏によると、会社のコミュニケーションは電話、チャット、メール、Twitterで成り立っているそうだ。電話はSkypeでもGoogle Voiceもいいし、Twitterの替りにGoogle Buzzを使ってもいいだろう。しかし、チャットとメールはGoogle Waveに置き換えられていくのではないかと感じている。もちろん、すべてのメールとチャットが置き換わるとは思っていないが、多くの部分でWaveが使われるのではないだろうか。

そして、ここで重要になってくるのが、WaveとTwitterとの共存だ。Twitterは今までにないゆるいつながりのコミュニケーションツールとしての立場を確立してる。実際に自分も使っているが、コミュニケーションツールの他に情報収集の手段としてとても有用だ。しかし、Twitterの情報はノイズが多く発散しやすい。最新の情報を肌で感じることができても、それを保存して加工する目的には向いていない。しかし、Waveを使えばそれを補うことができる。例えば、重要だと思われるTwitterの発言があったらそのポインタだけ示しておけば、その情報を共有できる。そして、それが古くなったりただのノイズだと判断したのならそれを捨てればいいだけだ。編集可能なWaveでは、チャットやメールのスパムのように邪魔になったりしない。リアルタイムの今の情報を共有できるのだ。因みに、Wave上でTwitterを動作させるボットもあるし、特定のキーワードでつぶやきを表示させるガジェットもある。

さらに、Google WaveはEvernoteとも非常に相性が良い。というのもGoogle Wave自体が複数人で共有できるEvernoteのようなものだからだ。もともと個人のWebスクラップノートとして利用されているものだからEvernoteを複数人で共有して利用するのは難しいが、Waveを利用することでその弱点を克服できる。

自分の場合、仕事ごとにEvernoteのノートを作って管理している。そして、ある仕事が共同作業であった場合、Waveを作ってそのURLをEvernoteに貼り付けておく。個人的な細々したメモや形になっていないアイデアなどはEvernoteに書いておき、皆で共有する情報はWaveに書く。Waveには他のメンバーも書き込んだり、編集したりするので情報は常に遷移していくのだが、その遷移する情報のすべてを一つのURLだけで保存できる。そして、EvernoteからWaveの情報にアクセスするのはクリック一つだ。これは画期的だ。因みに、Wave上でEvernoteを動作させるガジェットも存在する。

ここで示したように、Google WaveとTwitterとEvernoteを活用することで、とても大きな効果を期待できるだろう。

使用するにあたって

Google Waveの導入について、セキュリティを心配する声を聞く。外部にデータを持つのは不安だという。この点についても問題ない。と言うのも、Waveサーバプロトコルが公開されているからだ。自社サーバでメールサーバを立ち上げるように、Waveサーバを立ち上げることができる。現在はプレビュー版ということもありGoogle以外での実装は見かけないが、将来的には普通に立ち上げることができるだろう。

もっとも、自社でサーバを持つことと、セキュリティが確保できることとは同義ではない。セキュリティを保つためにはそれ相応の技術が必要だ。その点で自社でサーバを管理するよりも、Googleなどのような高い技術を持つ企業に任せた方が安全であるとする見方もある。もし、Gmailなどを仕事で使っているのであれば、Google Waveもそれと同程度にはセキュリティが確保されていると考えられる。

Waveを使用するにあたり、次に問題になるのは、各ユーザが感じる使い勝手だろう。いくら便利だからといって、使い勝手が悪ければ使われない。例えば、SkypeやGmailであればチャットやメールが届いたときにその旨が画面にポップアップして知らせてくれるユーティリティがある。Google WaveにもFirefoxやGoogle Chrome用にブラウザ上で知らせてくれるAdd-onがあるが、それだと常時ブラウザを立ち上げている必要がある。また、新しいWaveが来たときにメールで知らせてくれるオプションもあるが、メールの代わりにWaveを使うという目的からして本末転倒だ。そこで、Google Wave Notifierの使用をお勧めしたい。これを使えば新しいWaveが届いたときにポップアップして通知してくれる。また、Mac OS XやiPhoneならWaveboardというWaveクライアントが利用でき、通知機能もあるようだ。

どちらにしろ現在はまだプレビュー段階であり、リリースまでにはもうしばらくかかるだろう。それまでにはもっと便利でより良い環境が揃ってくることになると思う。

最後に

Google Waveはまだ正式にリリースされたわけではない。まだまだ発展途上のプレビュー版だ。機能も不完全であり、開発環境も安定していない。なので、今すぐにWaveアカウントを手に入れられなくても気にすることはないと思う。将来のGoogle Waveがどのように使えて、どのように便利なのかを知ってもらい、Google Waveが利用されることなく廃れてしまうことが私たちにとってどれだけ「損する」ことなのかを理解してもらうことが、これを記した理由だ。なので、今すぐ使い始めなければ「損する」というわけではない。しかし、それでも今すぐに使いたい方もいると思う。残念ながら自分の持っている招待枠は使ってしまったので、「Waveプレビュー版の招待を得る」などを参考にアカウントを手に入れて欲しい。

参考サイト

Google Waveの最新情報や便利な使い方を知りたい場合には、以下のサイトが参考になる。


紹介ビデオ

Google Waveの使い方が簡潔にまとめられているビデオ(約5分半)。



(*1) 「iPhoneとツイッターで会社は儲かる

ブログクラブより献本して頂いた。Twitterの利点がわかりやすくまとめられており、今回のテーマとも一部共通するので紹介させてもらった。Twitterの利点や利用方法を知りたい方は読んでおいて損はないと思う。個人的には最後の社員アンケートが面白かった。

0 コメント: